ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

2018年春クルーズ(仁尾マリーナ回航)那智勝浦→仁尾 濃霧でドッキリ

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2018年3月28日朝6時30分に那智勝浦港を出港した。
これまで並走していた、ジャヌー艇とはここでお別れした。

このレグのハイライトは通常であれば、潮岬、鳴門の渦潮、瀬戸内海の島々となるが、今回は違った。瀬戸内海全体に突如濃霧注意報が出され、搭載しているマリンVHF(16ch)から一斉放送的に「…灘は全域に当たって濃い霧が発生、各船航行にあったっては注意してください‼」と言うアナウンスが肉声で流された。
濃霧との遭遇はなんと鳴門海峡、ここからの1時間が今までのクルーズ経験中一番の恐怖体験となった。写真を撮って解説できれば良いが、何せ当事者なのでそのゆとりはなかった。

(以下に時間軸ベースで書いておきますので、参考になれば幸いです。)

1.進路上に濃霧発見。正面遠くに綿あめを海の上にかぶせたような低い乳白色の雲が進路鳴門海峡(大橋は見えない)方向にあることを発見。

2.濃霧突入。その時点では自船周囲の視界はクリアなので25ノット艇速は維持、最初は薄い霧中に入った感、だからスピード変えずに一気に濃霧内に突入。「あっと言う間に突然前も後ろも全く見えなくなってしまう。

3.船を止める。怖くなって急停止したが、そこは鳴門海峡入口、霧を運んできた風と強い潮で海面が沸き立っている。クルーが「何も見えない!海が荒れ始めた!」と騒ぎ出す。集中するため、音楽を止めるようクルーに指示。この時点で、船は潮に流されるままになっている。(もちろんその時は分からない)

4.本船に異常接近。GPS画面を見たら、進路から大きくずれ、かつ向きも違っている事に気づく。この間レーダ画面の投影距離を短くし、異常接近警告をオン状態にするために画面操作に掛かり切りで、前もGPS画面も見ていなかった。クルーから突然「正面に本船がいる!」との声。視線を上げると、フロントガラス目いっぱいに本船が…。レーダーからは異常接近を知らせる警告音。自艇が本船側面に突き刺さる手前20mにいることを確認。スロットルを入れ、思いっきり左転舵して一回転。

5.一回転して本船船尾に再接近。今度は舵が効く状態の下限スピードで再接近を試み、クルーに対し「本船が見えるか?」→「あぁ!本船の船尾見えた!」続いて、「本船スクリューは回っているか?」→「回っていない」との返事。この時点で、この本船も瀬戸大橋通過のために待機中だろうと類推。そこで私はスロットルのシンクロ状態を解除し、右左別制御状態にする。艇のコントロールを担保するためである。低速状態、かつ潮もきついので舵がきかないからである。こうして、本船船尾につかず離れずの位置をキープしていた。

6.本船近接追尾航行を選択。アイデアが浮かんだ。この本船について行けば安全に鳴門渦潮、大橋下通過出来る。今度は落ち着いて、目視できるところまで本船に接近、見えた時点で即後進をかけなければならないくらい視程は悪かった。結果、本船がその時点でどのようにレーダー画面に映るか、その映像が目の前にいるはずの本船を示していることを確認。二軸操作でつかず離れずを維持。

7.本船動き出す。本船から霧笛が出され、その後にスクリューが回り始める。GPSを見れば、鳴門大橋通過のための移動を開始していることがわかった。私も本船は見えないが、GPSで方向を、レーダーで衝突を回避しながら追従開始。このあたりの視程は約10m、生きた気がしなかった。海面を見れば、大きな渦潮の真ん中にいた。エンジンを個別に制御して進路を維持。

8.瀬戸大橋通過。この時点でレーダー画面は本船と橋が一緒の映像になってしまい本船を一時見失う。GPSだけが頼みの綱となる。本船が瀬戸大橋が通過してレーダー画面に再び橋と本船が再び分かれて映るようになるまでは、橋桁衝突が頭をよぎった。クルーから「頭上に橋が見える」の声。

9.本船とはなれる。本船は淡路島を北進するようで、私は小豆島(草壁港)で燃料を補給するため、ここからは追尾する船もなく単独航行となった。引き続き、視程は10m。GPSとレーダーだけの航行となった。 しかし、レーダーと本船の映り方を実体験できているので、何隻かすれ違ったが、すべて余裕をもって避けることができた。小豆島に近づくにつれ、霧が薄くなりはじめ、草壁港入り口では、十分な視程が確保できた。

10.小豆島草壁港で給油。直ちに出港。今度は鳴門海峡での濃霧体験ができているため、草壁港出口からの強い濃霧に満を持して突入。だがその直後、草壁港に入港する定期フェリーに接近したようだ。鳴門とは違い、今度は出会いの位置関係のため、接近スピードが速かった。フェリーからは警告として汽笛が何度もならされていたが、音だけでは正直方向が分からない。レーダーには、どんどん接近する当該フェリーが映される中, お互い15ノットほどでのすれ違いとなったと思われる。 目では全く見えなかった。

11.小豆島からは瀬戸内海の本船航路。実際には沿って走ることにした。なぜなら、本船航路内には、レーダーに映りづらいといわれている、小型船舶の操業、長期停船はないので、それを思い出し、本船航路に沿って走ることにしたのである。私が搭載している航海計器は、レイマリン社製のものだが、これはGPSプロッター、レーダー、魚探、を19インチのマルチファンクションディスプレイ上で、一覧して見られるものである。指で画面をタッチで操作でき、かつ切り替えのスピードも申し分ない。(日本での代理店は、フレンドマリンサービス)これまで一度も小さくて映らないということがなく、信頼のできるレーダーであることが分かっていた。
そのため、クルーを見張りに専従させ、鳴門海峡通過での遅れを取り戻すべく、20ノットのスピードを維持し、高松沖で濃霧から解放された。

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朝6時30分に那智勝浦を出港。午後3時に仁尾マリーナに到着。今回の回航に要した時間は三泊四日、使用燃料1840L。下田での一日風待ち観光も出来た。視程ほぼゼロの中での航行も実体験した。無事故、無傷を最高のつまみにささやかにクルーと乾杯した。次回はGWを使っての別府温泉目的の瀬戸内クルーズを予定している。