ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

2022年春クルーズ(奄美大島)-28日目「屋久島」

往航では「屋久島」からトカラ列島を南下するにあたって、「口之島」、「悪石島」に各一泊して「奄美大島」(名瀬港)に辿り着いたが、復航ではそれらを全部飛ばして一気に「屋久島」を目指した。当初は「中之島」に寄港したいと思っていたが、今回は返上して「屋久島」に急いだのである。その理由を先ず説明しておきたい。

上記のWindyキャプチャー画像は、今日から3日目(11日)の風予報図である。低気圧が襲来しトカラ列島はどん吹き状態になってしまう。これをどの島で凌いだら良いのだろうか、悩んだ。南西23m、行きたかった「中之島」の唯一の港は南西に面している。「悪石島」、「口之島」の港も同様。この2島でもし海況悪化で滞在が延び流といった事態となれば、食料調達の懸念も出てくる(それぞれの島に水、トイレのアクセスはある)。

海況の良い間に「屋久島」(宮之浦港)まで行くのが安全航海の原則に叶うであろうと判断し、「宝島」→「屋久島」115マイルを4時間半で走り切った。時間の経過は10時40分(悪石島通過)、11時45分(中之島通過)、12時(口之島通過)、14時10分(屋久宮之浦港)といった具合で、さながら急行列車の車窓のようであった。当然、途中の海況は静穏追い波、かつ黒潮の助けもあって常に25ノット以上をキープ出来ていた。

燃料は「宝島」を出港する前に予備タンク、ポリタン(6個)に入った軽油を全て給油口に注ぎ入れた。静かな港内ゆえに一滴もこぼさず移し終えたが、昨今法律が改正され、港内におけるオイル漏れ事案は罰金(100万以下)対象で運用も厳格化されていると言う。

奄美大島」の「古仁屋ビジターズ桟橋」で海上保安庁の臨検を受けたが、私の周囲にあったオイルの被膜海面を指差して「ビジター艇の油漏れ事案が散見されている。この油被膜は貴艇からの油漏れではないですか?」と言われた時はびっくりした。「船検を取ったばっかり、油漏れなどあり得ない。但し、知床観光船事故のようにいい加減な検査をJCIも昨今しているので自信はないが…」と回答したが、その時の職員の目は笑っていなかったことに気づいた。

その反動かもしれないが、その場で写真を撮り、その日の午後に一度、また翌日もチェックにきた。しかし、油被膜面積が増えていないこと、どうやら被膜油の色が古い物であったことに気づいたらしく、それ以降はお構いなしとなったようである。

往航の「悪石島」であったO氏夫妻の操るヨットに奇跡的に海上で遭遇した。「HAPPY」が「奄美大島」滞在を楽しんで10日間、その間彼は壊れた燃料噴射ポンプの到着を「悪石島」で待っていたのである。トータルで1ヶ月待ったのである。「私が復航でまたお会いしたら洒落になりませんよ」その会話が懐かしい。きっと、ようやく部品が届いて「悪石島」を出港し「口之島」に向かっているのであろう。海況悪化まで後3日、彼は「屋久島」で避航することを狙っていると思った。それにしても、ヨットというのはなんと美しいフォルムをしているのだろうか、大海原に対しこの慎ましやかな存在感には魅入られてしまう。

屋久島」(宮之浦港)で指示された係留場所は入って最初の波止堤防の内側。前回はもっと奥の漁船溜まり場に着かせてもらったが、本来は漁船の作業岸壁、この場所がビジター艇の係留場所である。

手前の2艇は前回もいたが、いずれも船検が切れていた。マストを倒して航行ができない状態にしておけば海上保安庁の指導対象外になるのだろうか。今回の「奄美大島」、「加計呂麻島」で船検切れのヨットが跋扈しているのに驚いた。

この海域が穏やかなのは明日まで、そのタイミングを逃さず「HAPPY」は高速を活かして、九州「油津港」を目指す予定である。