ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

アルミ艇(PONAM35)3年目の評価


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2016年6月に引き渡しを受けた私の船はトヨタ社製のPONAM-35、ハルに高強度アルミ合金を使用しています。だんだんとサイズアップをして来ましたが、アルミ艇はもちろん初めて。この写真は、製造工程を見たくてわざわざ伊勢の造船工場までで出向いた時に、自分の船を撮影したものです。第一印象は「量産は難しいだろうなぁ」でした。何故なら、FRP艇のハルなら型枠に入れて骨格なしで硬化させる製造方法をとりますが、アルミハルの場合は骨格をまず作り、その上でアルミ合金製の板を丹念に溶接していくことになるからです。。

おそらく溶接終了時点で水漏れがない状態に仕上がっていると思います。つまり溶接技術がいるということです。「車のようにスポット溶接して後はパテでシーリングし、その上を塗装カバーして仕上げる」という製造ではないようです。事実、工場には溶接ロボットはいませんでした。

アルミハル艇(PONAM-35)に決定するに際しては、今思うと吹き出してしまうような風説に接しました。以下は三年たっての私からの申し送りです。

1)電触でハルに穴が空き沈む→嘘でした
この話が一番多かったです。確かにアルミと海水、そのままでは電触します。しかし
PONAMで使われているのは、アルミ合金、アルミとは似て非なるものです。そのような事案は発生していません。ただ驚くのは、ユーザーの我々よりマリーナ関係者、ディーラーの方々にその思いが強いようでした。一番傑作だったのは「アルミ艇は海上係留では沈んでしまうのでお断りしている」でした。

2)塗装仕上げなんでFRPに比べ維持コストがかかる→本当でした
これはその通りです。ハルといっても常に海面から出ている部分は塗装の剥離なんか起きません。さすが自動車塗装塗料の進化が反映されているなと思ったくらいです。
しかし、船底部分は違います。手洗いしているときは気になりませんが、夏の長期クルーズを行うとフジツボがかなり船底に付きます。それをジェットを使って落としたりすると剥離がかなり進みます。これは塗装艇共通事項ですね。しかし、艇体のアルミがむき出しになります。小さいうちは同じ塗料でタッチアップをまめにしますが、所詮は応急処理。今年、3シーズン目は思い切って、プロに船底のメンテ(塗料入れて約10万)頼みましたが、船底全部仕上げではないので色ムラが起こってしまいます。田舎芝居の出来損ないの女形仕上げになっています。勿論、海浮かんでいる時は見えません。

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3)FBが高いので揺れに弱く不安定、クルーズ中心ならFB不要→嘘でした
これもよく指摘されました。今でも寄港先で「頭、重いので振られませんか?」との質問をされることがあります。確かにPONAM-35の場合そう見えます。しかし、これは誤解ですね。この船の場合とにかく不安を感じないんです。バランスがちょうどいいんです。むしろ強調したいのは、高速で走るボートの場合、漂流物の早期発見は安全航海の基本中の基本です。長期クルーズされるなら、それも20ノットで走るなら、FB艇を強く進めます。勿論ツナタワーは無用です。下の写真を見てください。FBからの視界です。台風豪雨のおかげで浮遊物だらけだった今年の長崎往復夏クルーズ、この視界が確保できなければ不安で仕方がありませんでした。私の場合、高いオプション料を払って、3カ所操船(FB、船内、アフトデッキ)できるようにしましたが、クルーズ中の船内操船は一度もしませんでした。もし、「船内操船が出来れば、航海中、楽しいゲストとの楽しい会話を楽しめます」なんてカタログに書いてあったら、それは船を知らない人の文章ですね。

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4)船内を狭くするだけのロアヘルムは不要→本当でした

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これもその通りでした。その代わり、アフトデッキ操船ユニットは必要でした。上の写真、アフトデッキの右奥にあるのが操船ユニットです。白のカバーがついているのはフルノ社のGPS 魚探プロッター、それにドライブアシスト(灰色カバーのモニターとジョイスティック、左右エンジンのアクセルを引き込んであります。舵ハンドルはありません。私の場合釣りもやるので、底釣りのためにこれも高いオプション料をわざわざ払って取り付けました。これが一人クルーズ、特に着岸時(離しの強風)に役に立ちました。想定外でしたね。右舷ずけにすれば岸壁接近状況を見ながら近づき、操船しながら、ループにしてビットにかけたり、リングなら行って来いにしたり、桟橋に釣り人がいたら、アイコンタクトした上でそれも手渡し出来るのです。アイコンタクトしてロープを受け取らない人はいませんでした。