ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

2021秋ショートクルーズ(大久野島/伯方島)10月10日

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しまなみ海道は、サイクリストだけの聖地ではない。我々ボート乗りにとっても魅力あるエリアだ。私は瀬戸内海島巡りクルーズにおいて、海域の理解が浅い時代はできるだけ海の駅を利用していた、もちろん安全のためである。しかし、慣れてきた今は係船場所に余裕のある漁港にも艇を着けている。時に今晩泊地にした「伯方島」(北浦港)のように全く周囲に何もない港もあるが、これもまた野性味があって良い、また味わいが深くなる。

 

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9時30分、「大三島」(宮浦港)を出港、まずは目と鼻の先にある「大久野島」を目指した。わずか30分のレグ、上記写真の奥に見えているのが「大三島」である。両島に挟まれた海域であるが故に潮の流れは急で、かつ桟橋のある場所は囲む堤防もない剥き出しの状態。従い、着けていても、潮、通過する本船、漁船の引き波、桟橋自体が小さいといったこともあって極めて落ち着かない場所である。

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この桟橋の利用(船中泊は許されていない)にあたっては、「休暇村大久野島」に事前電話して予約しておかなければならない。係船料金はかからないが、揺れるので艇の中にはいられない。島内観光の一時預かりと割り切った方が良い。潮の流れが寄せの急流だったので、離岸の際にはジョイスティックを使っての横移動離岸はできず、バウの大型フェンダーを桟橋に当てながらスターンを振って離岸したほどである。

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桟橋利用の手続きは、このホテルのフロントで行う。桟橋から徒歩5分。

 

この島に立ち寄った目的は2つである。一つは毒ガス資料館を訪れること、もう一つは野生のうさぎを見るためである。資料館掲示によれば、日本陸軍の毒ガス工場として主にイペリットガスの生産を行い、その毒ガスは中国本土に持ち込まれ、一部は実戦で使用されたと言う。(日本が毒ガスを使用した事は、昭和59年まで日本では殆ど知らされていなかった)製造過程で多くの日本人工員にも被害が出たと書かれていた。その毒ガスの戦争被害者、製造被害者の痛ましい写真を見るにつけ、毒ガス兵器の恐ろしさに写真を真面に見るのに勇気が必要であった。

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それに引き換え、この島でたくさん見かけるウサギ達には癒される。この地もコロナ緊急事態宣言明けで大勢の家族連れで賑わっていたが、炎天のアウトドアにも関わらず皆さんのマスク率は、ほぼ100%であった。

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次に「伯方島」(伊予北浦港)に向かった。「大久野島」からは、多々羅大橋を通過して40分のレグである。この北浦港の桟橋はかつて車を乗せられる通船が着いていたので広く、頑丈な構造となっていた。海から入って正面右の岸壁には小型の本船が着いていた。つまり、水深がたっぷりあると言うことだ。着けた場所は、海背中で右側である。正面に波除け堤防があり、入港に際しては、白い灯標(夜間点灯)側から入った方が良い。(ブログの読者から指摘がありました。海背中にして堤防の左側海面が広いため左コースを選択しやすいが干潮時に2mまで浅くなるので避けた方が良い)確かに、先に岸壁に着けていた本船もそうして出港して行った。桟橋の水深は満7.6m、干4.6mであった。

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ただし、この伊予北浦港桟橋利用にあたっては今治市伯方島支所(0897・72・1500)事前連絡して手続きをしなければならない。私は電話して、事後処理扱いで受け付けてもらった。後日郵送で申込書、係船料を届けることになるようだが、もしかしたら、ここは愛媛県今治なので係船料より送金手数料の方が高いかもしれない。

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この島を選んだのには訳がある。僚艇のT氏(彼は相当の食通)がここに着けて、同島「あか吉(きち)」で食し、そこで過ごした時間を楽しそうに話してくれたので来たのである。しかし、さすが、ミシュランで星を獲得した店だけのことのあって予約は取れず、先ほども当日キャンセル期待で電話を入れたが、ダメであった。ここがダメなら、伊予北浦港の周りには何もない。しかし、考えようによっては静かな港なので、船中居酒屋もありかなと、気をまた取り直した。今夜は「あか吉」ならぬ「また吉」と言うことになった。

 

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食事するところは何もないが、昼間運動も兼ねて島探索を1時間ほどしていたら「さくら」という小さなお好み焼き屋を発見、炎天下の散歩だったので、冷凍庫から取り出したジョッキに入れられた生ビールに思わず合掌。お客が3組入ったらいっぱいになってしまう小さな店だが、しまなみ海道を走るサイクリストの評価は高いらしく、先客もサイクリストだった。

後で分かったことだが、島にはタクシーがないので、予約の際、「伊予北浦港」に艇を着けていますと言えば、迎えにきてくれると思う。事実、ビールがぐんぐん進んだので、「徒歩40分の北浦港までの道のりが辛いなぁ」と話したら、小型船舶免許をようやく取ったというご長男がわざわざ送ってくれた。