ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

▪️ミキシングエルボー定期交換(1,000時間)!

「HAPPY」(PONAM-35)の船齢も7年目に入り、左右エンジン(アルミ合金性、M1VD-VH,370HP×2基)のアワーメータも「2023年対馬五島列島クルーズ」を終了して1,000時間を超えた。アウエイの長期クルーズが中心なのでクルーズ先での艇トラブルは命取りになると考え、日頃の整備はメーカー推奨通りに行っている。その為、戻ってからは、上架して整備にあたっている。ヤードに軽トラを持ち込めない週末を避け、かつ一回に3〜4時間程度の滞在となるので、1ヶ月かけてもまだ終わらないが、このペースだと良い気分転換になる。

今回の定期メンテメニューの中には「ミキシングエルボー」の交換が含まれる。メーカーが500時間毎の交換を推奨しているからである。「ミキシングエルボー」は3つのユニットから構成され、組み立てたユニットの真ん中の黒くなっているところが排気ガスの通り道、そのパイプを下写真の様な形で囲んで一体成形物として仕上げてある。そこに冷却水として取り入れられた海水を通す道をつけることで、高温の排気ガスを冷やすという構造になっていることが実視できた。

アルミ製エンジンとはいってもここは鋳物素材で作られている。発電機(オナン12kw)にも「ミキシングエルボー」がついているが、これはステンレス製であった。ステンレスの耐久性が鋳物に勝るのは当然で、2,000時間回してまだ一度も交換していない。

この海水が通る穴(スリット)と排気ガスを通るパイプ間の肉厚は冷却効果を考えて薄くなっている。本当は使用環境を考えて厚く丈夫にしたいところだろうが、それでは排気ガスを冷やすという目的が果たせなくなってしまう。

排気ガスには軽油に含まれる硫黄成分が混じっているが、高圧、高温の環境下では硫酸の結晶と化してパイプ内面にこびりつくことになる。そして、それが悪さをして硫酸による腐食が進むのだそうだ。その安全許容度が500時間なのであろう。実際にはこれには安全率が付加されているのであと100時間ぐらいまでなら大丈夫な気がする。

開けて排気ガスが通るパイプ内を注視したのが下記写真である。やはり、まだ腐食穴あきまでまだ相当時間的余裕があると見た。

 

「だったら、穴が空いてから交換ではダメなのか?」と問えば、いつものメカニック曰く「仮に穴が空けば、高温の排気ガスがエンジンルーム内に漏れる、あるいは海水がパイプ内に入り込み、高熱で結晶化反応を起こして、ターボユニット、シリンダーユニット等に付着し、最悪エンジン自体がお釈迦になる。同時に高温度の排ガスがエンジンルームに充満すればセンサーが反応して泡消化器が作動してしまう。その後の掃除は大変」との事だそうだ。つまり、そのリスクを想定すれば、「ミキシングエルボー」の定期交換はお得な判断というわけだ。

毎回、この手の問答をメカニックと行い、納得して外見的には新品同様に見える「ミキシングエルボー」の定期交換をおこなっている。

因みに、費用は概算で工賃も入れて100万(2基分、前回も同様水準)ぐらいである。これだけではないが、最近は「HAPPY」のために私の余命があるように思えてきた。昨今は私のメンテナンスが疎かになりつつあるので、どうやら「HAPPY」の方が長生きしそうである。思わず苦笑いであった。