ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

「六島」は、映画「獄門島」のロケ地

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上架して船底の完全清掃、防染塗装が剥がれていた所の再塗装が完了したのが一週間前、その後桟橋に係留したが、水温はまだまだ高いので船底へのフジツボ付着が気になって仕方がない。高速で走るボートはフジツボが付くと走行性能ががグンと落ちるからだ。。そこで、水温が下がり切る10月いっぱい、一週間に一度の走航を自分に義務付けることにした。

今回は「六島」往復、片道30分、往復1時間のコースである

 この島を選んだのは、映画「獄門島」(金田一耕助が登場する横溝正史推理小説を1977年 市川崑監督、石坂浩二主演)のロケ地であったと知ったからである。映画で使われたテーマミュージックが頭に刷り込まれるようで、忘れられない映画になった。

瀬戸内海をホームグラウンドにしている私にとって、映画に瀬戸内海の島が登場すると、その場所がどこなのか気になって仕方がなくなる。海の景色、遠望の島陰を見てロケ場所(島)を当てたくなる。

この映画では「六島」を架空の「獄門島」に仕上げるため、外観は鹿児島の離島や西伊豆の断崖絶壁、神社は伊豆、街並みは笠岡、福山といった具合にたくさんのロケ地を複合して仕上げてある。それでも、映画冒頭で金田一耕助が「獄門島」に通船で上陸するのは「六島の前浦港」である。

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これが「前浦港」、正面に見えている緑色塗装の桟橋につけることができる。ここには「笠岡」と「六島」を結ぶフェリーが着くが、その本数は1日4便ぐらい。最終便(1730)が出てからは朝一番便(0745)までは誰も利用していないと思われる。海から向かって右側につけられる。それにしても、今日の「六島」近辺は暗い。雨が今にも降り出しそうな曇り空に島上が覆われているからであろう。

「前浦港」を囲む堤防の間を抜けて中に近づく。近づきながらまず目に入るのが、桟橋正面奥の墓地。埋墓(うめばか)の上に後日、墓石を建てたらしく石塔が全体的に無秩序に並んでいて不気味に見える(この辺りの風習として両墓制というものがある)さらに左側に白壁に赤い柱、屋根が緑の建物が見える。なんの施設であろうか。白壁に赤柱なら神社、でも鳥居がない。新興宗教?やっぱり寺?納骨堂?。山に目をやれば斜面にたくさんの家並み。家々にまだ使われているオーラが残されており、人はそれなりに住んでいるに違いない。しかし、人が全く歩いていない。とにかく動いているものが何も無いのだ。

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 左に目をやれば、今度は船台に乗った真っ白な大型ボート、それもかなり大きい。なぜ?塗装の感じからすると放置された廃船ではなさそうだ。 この島にバブル期の象徴のような大型パワーボート。島の雰囲気とこの艇の組み合わせが、いかにもチグハグ。変だぞと思いながら、恐る恐る桟橋に向かう。水深は充分確保されている。

「獄門島」の映画の釣鐘のシーンが頭に浮かぶ。なんだか怖くなってきた。この桟橋で船中泊はあまりしたくはないなぁ、特に雨の日は…。 そんな自問自答を繰り返しているうちになんだか寒気がしてきた。それで、桟橋に舫(もやい)も取らず、上陸もせず、その場で回頭。逃げるように「前浦港」を後にしてしまった。

次回改めて「六島」に行くなら、明るい晴れた日を選ぶつもりである。もっと言えば、夏が良い。そうすれば「六島浜醸造所」の手作りビールがさらに旨くなる。島内探索も楽しいだろう。今回の様な雨上がり、今にも降り出しそうな暗い雲りの日、寒い日にはあまりお勧めはしない。