ボートで行くクルージング三昧

ホームポートを瀬戸内海(仁尾マリーナ)に移してクルージングを楽しんでます

2021年春クルーズ(隠岐島・舞鶴の旅)を考える

2021年 毎年恒例としている春のロングクルーズを考えている。

昨年は降って沸いた感のあるコロナ禍で緊急事態宣言、公共、民間マリーナからは外来艇お断り、隠岐島ホテルも同様の対応となってしまった。こうなっては致し方なく、計画は一旦白紙に戻したのだった。2021年になったら収まるだろうと思いきや、3度目の緊急事態宣言が出るほどの状態になってしまっている。

しかし、社会的なセンチメントは去年とはだいぶ違って、第4波到来とは言うものの、時短要請等の予防策に協力しながら各人、各社それぞれの判断でライフスタイル、ビジネスのありようを変えて折り合いをつけようとしている。こうした中で、マリン業界も今年はボートショウを開催、各マリーナもまだ外来艇お断りのアナウンスはしていないようだ。

当地「仁尾マリーナ」のビジター桟橋を見ると、GW期間中の悪天候でクルーズに出ているヨット、ボートが少ないようだが、他県船籍の艇がボチボチときている。同じマリーナの僚艇情報によれば、「尾道」を始め人気の海の駅は予約で一杯とのこと。

さて、2021年の春クルーズ計画に話を戻すと、隠岐島舞鶴(伊根)への旅への再挑戦となるが、日本海のこのコースに海の駅は少ない。それだけに使える海の駅は頼りとしたいが、航海中に急に「外来艇お断り」の報がもたらされた場合の備えとして、代替可能な泊地を調べて置く必要があるなどと考えていた。資料を集めて航海計画書をつくている間にページは増えつつけ60ページに及んでいる。海の駅よりこうした港の方が趣があって、歴史も深いのである。結局、そうした港はかつての北前航路の歴史で繋がっていた。

そこで、今回は、北前船航路に沿って隠岐島、伊根/舞鶴に行くと決めた上で、途中の寄港地、滞在泊数を柔軟に考えて港町をめぐるスタイルに変えることにした。

 

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往復にあたっての寄港可能地は、松山(海の駅)、国東(海の駅)、新門司(海の駅)、これ以降は北前船航路に沿って豊浦、角島、仙崎、萩、江崎、浜田、温泉津、出雲大社、鷺浦、七類、境港、隠岐島鳥取、柴山、井根、舞鶴(海の駅)を寄港可能地と想定している。

 

 

2021年4月の瀬戸内海島めぐり、お金持ちの島「大飛島」に行きました。

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 「大飛島」(おおびしまと読む)の大浦港である。引きいっぱいの時間に入港したが、港内の水深は十分あった。着岸場所としては私の艇が着いている場所のみ一時的な利用が認められている。勿論、利用容認のレベルなので予約はできないし、係船料金も徴収されない。私は、この島にある「イル・ドール」で昼食をとったので、予約の際にそのように指示された。反対側には、岡山県の笠岡(住吉港)とを結ぶ通船が着く。

 

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上の写真は桟橋にあるフェリー待合施設であるが、ここに最新のよく清掃されたトイレがあった。目の前にある自販機は島唯一の物、それも最近設置されたらしい。

島人口は30人ほどだが、その中に代々にわたっての海運会社オーナーが何人もいるらしく、島住民平均所得で算出すると岡山県でも屈指の地域、瀬戸内海の離島で比較したらおそらくナンバーワンなんだそうだ。だから私は、この島の紹介に当たって「お金持ちの島」とタイトルした。

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 ホームポートである「仁尾マリーナ」からは、馴染みの「六島」横を通過してほぼ北上して、45分ほどで到着する。途中、本線航路を横切るぐらいで目立った危険地帯はないが、大浦港に入る際はチャートを見て浅瀬(砂州)を回避するように大回りした方が良い。水深もそうだが、定着網も設置されている。

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 笠岡にお住まいのご夫婦が週末、休日のみ営業されている「イル・ドール」(英語だとisland of goldの意味)。私はてっきり、「大飛島」がお金持ちの住む島だからと考えたが、実際はオーナー夫妻の名前が金島(かねしま)さんだからだそうだ。しかし、金島とは、まるっきりお金持ちのをイメージさせる名前だ。

さてランチだが、予約すれば出してくれる、この場所に行くには桟橋から1キロの登り坂を上がることになるが、桟橋到着時に電話を入れたら「今から迎えに行きまぁ〜す」と声がかかりホッとした。


 

クルーザーボート(ポーナム35)の泊地情報(瀬戸内海・日本海)/入港経路(2021)

2021年にクルーザーボート(ポーナム35)で訪れた泊地情報/入港経路の情報をGoogle Mapにまとめてみました。

2022年の泊地情報/入港経路情報は下記からどうぞ↓↓↓

cruisingzanmai.hatenablog.com


2020年の泊地情報/入港経路情報は下記からどうぞ↓↓↓

cruisingzanmai.hatenablog.com

2019年の泊地情報/入港経路情報は下記からどうぞ↓↓↓

cruisingzanmai.hatenablog.com

 

2021年2月の瀬戸内海島巡り、色濃かったコロナの影響

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845に「三原」を出港して燧灘を一直線に「仁尾マリーナ」に向かった。北東の風6m、途中チョッピーな波が出て来たので20kt平均に減速、1時間半後の1015に無事帰港。

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 今回の瀬戸内海島巡りの全航程は約100マイル、実質の走行時間は5時間、使用した燃料は400Lであった。何度も出かけている寄港地なので、もはや楽しみは夜飲みと化してきた感があるが、至る所でコロナ禍の影響は甚大であった。飲食店、立ち寄り湯といった島巡りクルーズのお楽しみ事案はすべからく大きな制限下にあった。それでも、コロナ禍解消後に瀬戸内海にやってくるボート、ヨットの皆さんに為にアドバイスをさせていただきたい。まず、初めてなら慌ててホームポートに帰らず、瀬戸内海のどこかのマリーナにに船を預けて帰ることを前提に計画を立てるようお勧めする。私のホームポートである「仁尾マリーナ」もその一つになると思う。ここを基点にして「大三島(宮浦)」、「三原」(尾道)「厳島神社」(広島)を回られると良いと思う。

まず「三原港」をお勧めするのは、係船桟橋が新幹線三原駅から徒歩5分だからである。そこで瀬戸内海だけなら参加してみたいという仲間をピックアップすると島巡りが賑やかになって良い。

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「三原港」からは「大三島」の宮浦港桟橋を目指してはどうだろうか。途中の景色はゲスト大感激、足の遅いヨットでも機走で3時間もあれば着く。ボートなら1時間ちょっとぐらいである。上陸したら「大山祇神社参拝、同国宝館見学」、夕方は日帰り温泉「マーレ・グラッシア大三島」でクルーズの疲れを取ると良い。この地には続けて2泊することをお勧めしたい。

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 ゲスト到着日はこのくらいにして、翌日は電動自転車を借りての「しまなみ海道ミニサイクリング」をお勧めする。橋を渡る時が最も感激するが、その下を船が通るので桁の高さが高く、大いに坂道を登る事になる。夏なら大汗ものである。だから電動自転車、ただし台数が少ないので予約は必須となる。

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サイクリングが終わったら、再び日帰り温泉「ラ・マーレグラッシア」で汗を流し、あらかじめゲストには朝食のみの宿を2日取っていただき、夜は地元の居酒屋に集合して宴会を楽しむのが1番良いと思う。オーナーは艇の安全確保も考えて船中泊する。係船場所はとても静穏な海面なので快適である。

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今はコロナ禍で訪ねてくる友人も皆無だが、もし誰かゲストが来たらこんなプログラムでもてなしたいと、1人妄想しながら今回のクルーズを回想している。早くコロナ禍が去って欲しいものだ。

 

2021年2月の瀬戸内海島巡り2日目は「竹原/三原」

昨晩の船中泊はこれが海上かと思われるほど、微動だにしなかった。「宮浦港」を1030に離岸、次の目的地である竹原港には30分後の11時に着いた。同港には小さな「たけはら海の駅」がある。写真でみればわかるが、かなり小さい。一隻で満杯状態になる。しかし、フェリー岸壁に取り付けられた浮桟橋なので水深に不安はない。ホームページ上では受け入れ艇の艇長は最大9.75mまでとなっていたが、この日は他に利用艇がないためか長さでオーバーする我が艇を受け入れてくれた。ここには給電、給水設備はなく、トイレはフェリーターミナルの中にあるものが使える。

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 このあたりは寄港可能な島が密集状態と言って良いほど点在しており、瀬戸内海島巡り海域として楽しい海域となっている。しかし、フェリー網は本土起点となっているので観光周遊となるとかなり不便であろう。

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竹原には安芸の小京都と銘打った「たけはら町並み保存地区」があり江戸時代後期に製塩や酒造業で栄えた屋敷や町並みが今もそのままに残されている。因みに、もう少し後期の昭和初期の町並み保存であれば瀬戸内海の「御手洗」がそれにあたる。竹原の町並みの中には「竹鶴酒造」がある。ニッカウイスキーの創業者で日本ウイスキーの父と呼ばれた竹鶴政考の生家である。彼はNHK朝の連ドラ「マッサン」のモデルであり、この生家でロケも行われた。その事も気になってこの町並みを訪れたが、時代を再現すべくNHKのロケ隊もきっと大変でだったであろうと思った。

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今も現役の事務所として使われているためか、玄関扉には立ち入り禁止の張り紙がデカデカと掲げられ、中には入りづらい。ラベルに竹鶴と書かれた日本酒でもかって土産にしようと思ったが、「買うなら入っても良い」的な掲示文では気もそがれる。確かに、ここは製造現場、観光客歓迎とはいかないのだろう。NHKの連ドラ効果で一時は観光客がドット押し寄せ、迷惑をかけたことは容易に想像できる。ということで、ちょっと下げテンションでの町並み散歩となった。やはり「竹鶴」はウイスキーに限る!

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竹原観光を終え、1345分に桟橋を離れて1430分に「三原港」に艇をつけた。前回来たのが2020年8月、炎天の最中であったが桟橋にはベンチ、入り口には暗証番号入力型の電子キーが設置され、5分で行ける新幹線の三原駅に至る空き地には、なんと真っ新なビジネスホテルまで完成していた。しかし、相変わらず日帰り入浴が可能な施設はない(通常、尾道のみなと館まで行くが、あいにくコロナ禍で休業中)。就寝時の泊地静穏性、給水、給電(200v含む)トイレ、加えて夜の飲食の選択肢が多いので私のお気に入り泊地の一つとなっている。これに日帰り入浴が出来たら言う事がないのだが。本日の夜は、寿司屋「よしかわ」。まずは艇内で熱いシャワーでも浴びてテンション少し上げて出かけよう。

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この店、なかなかであった。私のブログもおなじ泊地を何度も訪ねると、船周りの情報紹介が終わって、飲み屋、観光情報サイトと化してしまう。このブログ内のカテゴリー「三原港」も合わせて御覧いただければ,泊地情報としてより完全なものになると思う。

さて、同じマリーナの香川県屈指の長者k氏も「三原港」をテッパンで愛する御仁だが、その彼からもこの「よしかわ」の名前は出ていなかった店である。私はこの店が気に入った。三原港は「よしかわ」で決まり!ではないだろうか。

 

2021年2月の瀬戸内海島巡り初日は「大三島」

瀬戸内海は冬でもボートクルージングに出かけられるが、冬の季節風の影響は避けがたい。1週のスパンで見ると、ボートにとって快適な風速5m以下が続くのは2、3日で、それも毎週という訳にはいかない。2月のなるべく暖かくなった頃に手近の瀬戸内海島巡りを楽しむべく、そのタイミングを狙っていた。今回の2月23日〜25日の3日間に、ようやくそのタイミングがやってきた。

10時40分に「仁尾マリーナ」を出港し、2時間後の12時40に「大三島」にある「いまばり・みやうら海の駅」に到着。おおよそ40マイル。途中の海況は予想どおり風は3m、波高50センチであった。ボートにとってはこの上ない海況であったが、恐らく新居浜→仁尾マリーナレグを走っているはずの僚艇「NAMIKOMACHI」(コンテスト48)は意に反して風なく、きっと機走、T艇長はさぞかし退屈しているに違いないと思いながら航海していた。

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何度も来ている「いまばり・みやうら海の駅」だが、本当に良き泊地である。ただし西に開いているため、冬の季節風の影響を避けることはできないし、おまけに水も電気もない。けれども24時間使えるトイレが桟橋から3分ぐらいのところにあり、清掃もよくなされている。私のブログ内にあるカテゴリー「大三島」も合わせてお読みいただければ、尚一層の情報カバレッジとなるので参考にしていただければ幸いである。

 

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この島に来る一番の目的は「大山祇神社」への参拝と、温泉「マーレ・グラッシア大三島」であった。冷える冬の航海時の温泉をとても楽しみにしていたのだが、なんと今回はボイラー故障による臨時休業とのことであった。誠に残念である。てっきり天然温泉と思っていたが冷泉、もしくは海水をボイラーで加熱した温泉施設であったことがわかった。

天照大神の兄神である大山積大神が御祭神である「大山祇神社」は日本民族の総氏神として日本総鎮守を標榜するが、これは「伊勢神宮」も同様である。しかしながら、神社に至る参道の寂れようは「伊勢神宮」のおかげ横丁とは比較しようもないくらいである。それでも、「しまなみ観光ブームの際には年間のお賽銭総額が6億円」と地元の方は誇らしげに話してくれた。団体旅行で「大山祇神社」に参拝し、精進落としと称してキャバレーに繰り込んで大いに盛り上がっていたであろう事を忍ばせるワンショットを撮ってみた。

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予定していた「茶梅旅館」、これも臨時休業中であったが代わりにもはや馴染みとなった桟橋管理人に教えてもらった居酒屋「きつねのぼたん」を予約して、今晩の用意が固まった。やはり何度も来る泊地には共通点があるようである。その要素とは第一が泊地の静穏さ、第二が食事、これに温泉が加わればなお結構である。では、一旦、筆を置いて出かける準備に入るとしよう。

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紹介された「きつねのボタン」、なかなかの店であった。若夫婦(嫁さんが地元)でチャレンジして4年目。この「大三島」への初寄港が2017年であったので大いに親近感を覚えた。料理は所謂、創作料理系の居酒屋であるが、全体に軽く、味のセンスに無理がない。この写真の「親鳥のタルタル」は肉の歯応えと、刻み玉ねぎ、大葉のあしらえがうまく調和した良きつまみであった。私は大いに気に入りお代わりを頼み、酒も進んだ。カウンターは常連席であったが、上手く皆さんに溶け込めたお陰で「大山祇神社」参道の事情通になれた感がある。ここでも、「六島」同様「地ビール」起業の若者がいたが、離島再生のコンテンツの一つとして馴染みのよいものだと思う。

2021年の初ボートクルーズは「岩城島」

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■この酒が「生絞り岩城島レモンサワー」

2021年最初のクルーズの目的地として「岩城島」を選んだ。寄港にあたっての諸々情報は2020年8月に訪れた、1回目のブログ記事と合わせてお読みいただくとして、今回は訪れるボートマン、ヨットマン向けにおすすめする居酒屋情報から書き始めることにする。

▽1回目岩城島ブログ記事

まず、この酒を「よし正」に行って飲んで欲しい。そして美味しい料理も楽しんで欲しい。なにを頼んでも期待が裏切られることはない。写真の酒は「生搾り岩城島レモンサワー」、価格は一杯¥600、この島で取れる名物レモンを一個丸ごと絞って作る。これが絶妙にうまいのである。酸っぱさがちょうど良い。だから、好きなビールを頼まず何杯でも飲んでしまう。

そして料理も良い。旅館と言って良いほどのスケールで「民宿よし正」を併設しているので、料理は本格厨房で料理人がきちっと作る。下の写真でそれがわかれば幸いである。

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■24時間利用できる清潔なトイレがある「かみじまちょう・いわぎ海の駅」

ホームポートである「仁尾マリーナ」から「岩城島」まではほぼ一直線で1時間ちょっとの航程である。強い西季節風の合間の2日間(1月11日、12日)を選んだので、往復とも無風、波なし、快適な25kt走行となった。

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岩城島」での泊地はフェリー桟橋に並行して設置されている「かみじまちょう・いわぎ海の駅」を前回同様に選んだ。同じ上島町には瀬戸内海寄港地のメッカともされる「ゆげじま海の駅」があるが、ここは特にヨットの皆さんにとっては、最高クラスの泊地だと思う。(カテゴリー:弓削島参照)24時間利用できるトイレ、ランドリー、100V陸電気、水道、近くに日帰りスパ、居酒屋、レンタル自転車なんでもある。収容隻数も多いので現地集合ランデブーにも不安がない。

これに対して「いわぎ海の駅」にはなにもなく、桟橋長も短くて大型艇なら一隻でいっぱいとなる。港内が狭いので長くするのも難しい気がする。したがって、利用艇が少なく泊地は静寂そのもの。また、西側・北側が山なので冬の季節風を遮ってくれ、引き波もフェリーリ離発着時以外は漁船の通過も滅多になく、船中泊しても苦痛はない(弓削島は引き波が多い)。給油については桟橋で受けられるのでボートならこちらを選んだほうが良いと思う。島内には天然温泉である「菰隠温泉」があるが、桟橋から2キロあり、歩いて行くには遠い。桟橋前の観光センターで自転車をレンタルする事は可能だが、今回は外気温2度、あまりに寒く、行くのを取りやめた。

「六島」にまた行きました

冬でも、日を選んで毎月1回は島巡りショートクルーズに行こうと思いながら、今月も下旬になってしまった。時間に余裕があるはずなのに、毎日あれやこれやと雑事に押されてしまうものである。いつでも行けるという気持ちが、予定をずるずると押してしまうのかもしれない。

明日28日(土)は、8メートル程の西風が吹くらしい。金、土、日の2泊3日クルーズはこれで無理になった。行くなら今日金曜日、もしくは日曜日しかない。近場で日帰りでも行こうと思い立ち、先月に行った「六島」に再チャレンジしてみようと考えた。


実は、先月に行った時の「六島」は、 雨雲が低く立ち込めていて、雨上がりで島全体が湿気で陰気。まるで映画「獄門島」の雰囲気に気圧され、上陸せずにUターンして、そそくさと仁尾マリーナに折り返したのであった。
cruisingzanmai.hatenablog.com

しかし、今日は違う。冬の晴れた日のなぎ、フライブリッジには日差しがいっぱいに差し込み、温室状態で気持ちいい事この上なし。これは「六島」リベンジクルーズに行くしかない!と思い立ったのである。
今回、この島を訪ねる大きな目的は、前回叶わなかった「六島浜醸造所」を訪ねて美味しい地ビールを飲むことである。仁尾マリーナのT艇長に教えてもらってから行きたいと思っていた。

前日、電話して予約(正確にはお店が開いているかの確認)しておいた。笠島とを結ぶ通船が1日4便、この桟橋を使う。海を背中に右側なら着けても大丈夫との情報を得ていた。トイレは通船の待合小屋の中にあって24時間使える。

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瀬戸内海の島々には、離島振興 もあってか立派な浮き桟橋が小さな港でも用意されている。ここ「六島」の人口は約60人、それでもこのクラスの桟橋が確保されている。域外から瀬戸内海に来て島巡りクルーズをするなら、最初は海の駅、慣れてきたら一般漁港、通船桟橋の利用と係船候補地を広く捉えると、更に楽しくなる。クルーズを続けていると、着けて良い港か、舫うならどこが許されるか、念のため挨拶するならどこでしておくべきか等が感覚的にわかってくる。

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「六島浜醸造所」では、3種類の地ビールが飲めた。価格は全てワンコインの500円。オーナーのI氏によれば「岡山の飲食店向けの樽詰生ビールが主たる売上、個人相手だと地元の常連達が大半、この島に来る観光客はあまりいないので、製造直売所の様なもの。あまりお構いできない」それでもこのさりげない店構えに感心していると、全て手作りとの答え。なかなかセンスが良い。

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「ゆっくりされるなら、つまみ持参でどうぞ。私はその日、仕込みで十分なおもてなしができませんので…」との言葉に甘え、艇から持ち込んだオーブンでピザを焼きながら、しばし、至福の時間を過ごす事ができた。仁尾マリーナから、わずか30分の移動でこの様に美味しいクラフトビールに出会える。悪くないですね「六島」。

「真鍋島」は映画「瀬戸内少年野球団」のロケ地です

本日も秋晴れ。クルージングは海況が良ければ、風は少し冷たいが日差しは暖かいこの季節が最高だと思う。今日は、「北木島」楠港から「真鍋島」岩坪港まで行くことにしている。「真鍋島」は目と鼻の先の距離である。

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北木島」楠港を出発して15分ほどで、「真鍋島」岩坪港に着いた。手前の赤い桟橋は通船が使用する桟橋だが、運行の間隔が長いため2時間ぐらいの島観光なら利用しても迷惑がかからないと思われる。それでも、万が一、臨時便が来てもまずいので港入り口、入ってすぐの防波堤に着け、いつものように艇に名刺を貼り付けて島観光に出かけた。徒歩圏に2ヶ所、綺麗に掃除がなされているトイレを発見、同時に給油の可否もチェックしたが、これは無理そうであった。

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こちらは、「真鍋島」の表玄関ともいえる本浦港の公共桟橋。岩坪港から歩いて15分ぐらいのところにある。こちらの通船の時刻表を見るとそれなりの便数があり、ここに着ける事はできない。どうしてもと言うなら、桟橋のトイ面にある「漁火」で食事をすれば店が所有する「漁火丸」に横抱きさせてくれるとのことだった。

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この「漁火丸」に横抱きして着けるとは事前に聞いていたが、この港には漁船が沢山係留されて空きスペースがほとんど無く、外来艇の利用は想定されていない。それ故に昔の漁師町特有の怖さ(プレジャー艇排除)も感じられ、入港するのは避けたほうが良いと思った。

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こちらが、「瀬戸内少年野球団」のロケ地、笠岡市立真鍋中学校。昭和24年に建設された木造の校舎は現在も現役で使われているとのこと。本日は月曜日の平日で、運動場には運動着を着た生徒が5人ほどと先生1人が体育の授業中。見学は無理だなと思ったのも束の間、「入って結構ですよ」と体育の先生に声がけいただいた。
校舎の中は、コロナのご時世のため見学はできなかったが、写真を1枚撮らせていただいた。ひょこり顔を出されているのが、校長先生だと思われます(笑

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真鍋島に行ってみようと思ったきっかけは、私が所属している地元自治会だけでも「真鍋」の姓を持つ人が多くて、どうやら香川県には「真鍋」姓が多いらしい。さらに、ネットで調べてみると「敏達天皇を始祖とする井出左大臣橘諸兄の次男諸方系統の橘遠保の子孫は、保元年間にこの島に廃流され、名も真鍋(当時の地名)に改めさせられた。真鍋姓の歴史はこの島、この時から始まった」との記載があった。

実際に真鍋邸の本家を訪ねると、小さな島故に館も庭も狭く、生えている樹齢約250年の「ホルトノキ」(写真)がやたら大きく育っている。人の住んでいる気配はない。それもそのはず、真鍋本家はすでに絶えてしまい、今は建物自体が文化財として公開されているだけだ。中も見る事もできない。「真鍋を名乗る人はほとんどいない」と、島の古老から聞いた。地名の由来を調べると「笠岡諸島の真南の辺りの島、だから真南辺→真鍋」、地名はこんな風に決まっていたようである。

 

「北木島」は島全部が御影石です

木これまでのクルーズは長距離中心であったので、この10月は近場の島々を訪ねることにしている。艇、特にペラに付着するフジツボ対策のため、またそろそろ出航したいと思い始めた。紅葉の時期になるが、今年も暖冬のせいか瀬戸内海にまだ紅葉の便りを聞けていない。厳島の紅葉は、11月中旬位になると思われるので、今回も近場の島々(北木島と真鍋島)を1泊2日で訪ねることにした。

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北木島」は、ホームポートである「仁尾マリーナ」から北に向かって約40分(25ノット)の所にある、北木石(御影石)で知られている島である。人口は800人程度あるため、人の動きも島内を移動する車の動きもそれなりにあった。これだけの規模なのでGSは勿論あった。ただし、第一、第三土曜日は1430まで、日曜日は全て休みである。

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北木島」でプレジャー艇が利用できる泊地は、島北側の豊浦港(正面は白石島)にある海の駅(ケーズラボが管理)と、東側の楠港(正面は真鍋島)の2カ所となる。前者は有料で一泊3000円(30f以上、以下なら2000円)、後者は通船桟橋の空き利用だが、地元自治会が清掃などを担当している関係から一回千円の協力金(利用料)が必要となる。ただし、連絡先の表示がなく、通船が来る時間帯になると現れると言った次第である。

管理人のk氏は翌朝、630の発着便時に現れたが、この日は病院船が来るとのことで興味が湧き暫く止まった。たった3人の楠集落のお年寄りの乳がん検査のため、この船が来るのである。乗組員に聞くとこんな感じで、島々を回るのだと言う。この診療船「済生丸」を舞台にしたTVドラマが「海の上の診療所」(松田翔太主演)として2013年にフジTV系で公開されていたとk氏から聞いた。帰ったら、Uチューブで見てみよう。

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私は「ユーコーマリン」を一度訪ねてみたかったので、訪問に便利な東側の楠港につけた。係留場所は写真のとおり、桟橋と堤防に挟まれた狭いスロットであった。水深は3.8m(干潮時)確保されていたので、堤防側に寄り過ぎなければ安全に着けられる。ちなみに施設的には何もない。最寄りトイレは大浦港まで歩いて30分、豊浦港まで40分かかる。一応、k氏には他の島桟橋利用の状況を伝え、連絡先の表示とトイレの設置をお願いしてみた。

 さて、島を5時間かけて歩いて散策したので、以下に簡単な紹介をさせて頂きたい。

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これが「ユーコーマリン」の北木島本社。残念ながら、この日は日曜日だったので店内に入ることはできなかった。

北木島」は高度経済成長時代、新幹線、高速道路工事といった大規模インフラ工事で使用される石材を賄うため、石材事業者が200軒近くあったようだが、今では本格的な石材事業者は1軒のみとなっており、廃業した石材加工場跡がそこら中に残されている。恐らく、「ユーコーマリン」はその石材加工場跡を改修してロフトにしたものと思われる。きっと大型クルーザーのセールも一面に広げられるほど中のロフトは広いと思われる。

 

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ここが豊浦港の「ケーズラボ」。この施設前から見える赤い桟橋(徒歩3分)が海の駅桟橋となる。利用料はこの施設内の券売機でチケットを買って受付窓口に出す。観光をしたいのであれば、レンタル自転車をここで借りることができる。「北木島」は想定より大きく自転車の方が楽しめる。また、施設の中にある「ストーンミュージアム」(600円)に入れば島の歴史がよくわかる。

 

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島はどこも表層を剥がせば、その下は御影石となる。実に御影石でできた島と言える。石切場は「丁場」と言われ、放置されれば雨水が溜まって池になる。コスト的には、表層を剥がすより、地中深く掘り進んだ方が安いので「丁場」は海水面より深くなりこともしばしばで、地下数十メートルに及ぶと言う。尚、北木島で産出された御影石日本銀行本店、日本橋三越本店靖国神社の大鳥居などに使われている。今は、高級墓石として使用されているらしいが、将来は決して明るくない。

 

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おそらくこの島では、木より石の方が安いのかもしれない(笑)